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Anesth1975

Author:Anesth1975
麻酔科医です。

健診でIgA腎症が発覚。

医者が患者の立場になってみて初めてわかったこと、感じたことなどを綴っていこうと思います。

'13.12.10 腎臓内科初診
'13.12.17 腎生検目的で入院
'13.12.18 腎生検 
'13.12.21 退院 食事制限開始
'14.01.06 診断確定
'14.01.29 扁摘パルス目的で入院
'14.01.30 口蓋扁桃摘出
'14.02.05 パルス1クール開始
'14.02.12 パルス2クール開始
'14.02.19 パルス3クール開始
'14.02.21 退院 → 4週毎の外来受診
'14.11.04 食事制限解除
'14.12.02 寛解のお言葉を頂戴する
'15.01.27 外来受診8週毎に
'15.09.09 外来受診12週毎に

現在の処方 '14.12.02〜
 オルメテック(20mg) 1錠
 ノルバスク(5mg)1錠

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常に「考える」ことが大切
NHK BSの「球辞苑」という番組をご存知でしょうか?
プロ野球関係の情報バラエティなのですが、毎回あるキーワードを決めて、それについて議論・検証してゆくという番組です。そのキーワードにはなかなかマニアックなものも多く、「ファースト」「悪球打ち」「テキサスヒット」などなど。
毎年オフシーズンに放送されるので、今季も3月末で最終回となりました。

私は野球が好きなので毎回ビデオに録りためてあるのですが、たまる一方でなかなか観る時間がありません。それを最近になって何本か観ることができました。
毎回現役の名選手や往年の名手たちがその回のテーマについて語るわけですが、それを聴いていると、一瞬一瞬のプレーの中でもいろいろなことを考えていることがわかり、驚かされます。そして普段からあらゆる場面を想定し、それに合わせた練習をしています。名手と呼ばれる人たちは、常に考えているのです。
プロ野球選手というのはその全員がズバ抜けた身体能力の持ち主なわけです。その中で優れた成績を残す人たちというのは、頭もものすごく良いのだということがわかります(中には超人的な身体能力のみで成績を残しているように見える人もいますが)。先日現役引退したあのイチロー氏も、高校時代は学業の成績もトップクラスだったと聞きます。

相手投手・打者の特徴・性格や、右利きor左利き、アウトカウント・ボールカウント、得点差、ランナーがいるかいないか・どこにいるか・ランナーの脚の速さ、守備位置、控え選手は誰がいるか……などなど挙げればキリがありませんが、その場その場のあらゆる条件や状況を考えつつ次の行動を決める姿を見て、これは自分の仕事にも通じるものがあるなと思いました。

手術で麻酔をかける場面で言えば、手術の術式、検査データや合併症といった患者の術前状態、外科医の技術・性格、ついている看護師の技量、患者の性格、手元にある薬剤や道具の種類、部屋のレイアウト、などなど。手術終了後に一般病棟に戻るのか、集中治療室に行くのか、それとも日帰り手術か。その日の手術室のスケジュールによって、麻酔にゆっくり時間をかけられるのか、それともスピード重視か。手術が長引いて夜勤帯に入ってしまった場合には、緊急検査の結果が出るタイミングや、輸血が到着するまでの時間が通常より遅くなる可能性も考慮。今後も再び手術を受ける可能性が高い患者の場合には、次回のためにもできるだけイヤな思い出を残さないように。
こちらも挙げればキリがありませんが、いろいろな条件を考えて計画を立て、そして手術中は刻一刻と変化する状況に合わせて軌道修正しつつ、麻酔を遂行してゆきます。

ただ最近は薬剤にしても機械・道具にしても、とても良いものがどんどん開発されているおかげで麻酔が簡単になり、あまり考えなくても麻酔がかけられてしまいます。とりあえず眠らせて、手術中は起きることも動くこともなく、手術が終わったら目を覚まして病室に帰せばいい、というのが目的であれば、極端な言い方をすれば誰でもできます。そのせいかほんの1,2年の経験だけで一人前になった気になって、鼻高々になっている若い麻酔科医もチラホラ見かけます。
このように書くとマイナスなイメージを抱かれると思いますが、「どの病院でどんな麻酔科医にあたっても、ある一定レベル以上の安全な麻酔を誰でも受けることができる」と考えれば、とても良いことであるとも言えます。

しかし考えて麻酔をかける修行をしていないと、突然の大出血や急変といった不測の事態や、環境の変化(器具の故障や、設備が不充分な病院に行った時など)には対応できなくなってしまいます。要するに、応用がきかなくなります。
昔に比べて麻酔が格段に簡単・安全になった昨今では、稀に遭遇する不測の事態にどう対処するかによって、麻酔科医の評価が決まると言っても過言ではないと思います。

私は幸いにも厳しい環境で修行をスタートし、いろいろな経験をさせてもらったおかげで、どんな環境でも仕事をこなす自信はつきました。今月から医者として20年目のシーズンに入りましたが、おかげさまでいろいろなところから仕事の依頼をいただき、本当に有難いかぎりです。若い頃はキツくて、楽な環境に逃げ出したいといつも思っていましたが、我慢してよかったなと今では思えます。

あらゆる行動において「考える」という過程をはさむことによって、得られるものは意外と多いのだと思っています。


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麻酔科医として | 22:21:35 | トラックバック(0) | コメント(0)