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Anesth1975

Author:Anesth1975
麻酔科医です。

健診でIgA腎症が発覚。

医者が患者の立場になってみて初めてわかったこと、感じたことなどを綴っていこうと思います。

'13.12.10 腎臓内科初診
'13.12.17 腎生検目的で入院
'13.12.18 腎生検 
'13.12.21 退院 食事制限開始
'14.01.06 診断確定
'14.01.29 扁摘パルス目的で入院
'14.01.30 口蓋扁桃摘出
'14.02.05 パルス1クール開始
'14.02.12 パルス2クール開始
'14.02.19 パルス3クール開始
'14.02.21 退院 → 4週毎の外来受診
'14.11.04 食事制限解除
'14.12.02 寛解のお言葉を頂戴する
'15.01.27 外来受診8週毎に
'15.09.09 外来受診12週毎に

現在の処方 '14.12.02〜
 オルメテック(20mg) 1錠
 ノルバスク(5mg)1錠

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PCR検査 ウラ話
前回の投稿にまつわる話です。
又聞きの又聞き程度の話ですので、細かい数字などは違っているかもしれませんし、この話の信憑性自体も保証はできません。個人的には「さもありなん」と思っておりますが...。

ある自治体が地元の医師会に対して、PCR検査センターで検体採取を行う医師を集めてほしいという依頼をしたそうです。1日に8時間の勤務で、自治体から支払われる給与は3万円という条件だったとのこと。

3万円ではとてもではないが希望者はいないだろうと考えた医師会は、医師会の予算から15万円を上乗せし、日当18万円で募集したそうです。

それでも希望者は思うようには集まらず、さらに5万円を上乗せして日当23万円としたところ、どうにか集まった、というお話です。

これを読んで、どう思われますか?
「医者なんて結局は金で動くのかよ」と思われますか?まあそれも仕方ありません。初めの設定の3万円でさえ、世間一般に比べれば高額です。しかし現実的に、この国でPCRに従事する医師を確保するのはこれだけ困難だということです。

では、もし私が依頼を受けたとしたら・・・

・3万円 : 話にならない。即お断り。
・8万円 : 即お断り。
・13万円 : 基本的にお断り。昔お世話になった先輩などから直接頼まれたりすれば、考えなくもないけど...。
・18万円 : まあ引き受けてもいいけど、一度は断るかな...。
・23万円 : まあいいか。

といった感じでしょうか。
感染のリスクを負う危険な、しかも多忙な任務である以上、安易に引き受けられるものではありません。支払われる対価が「お金」である以上、それなりの金額を要求します。もちろん医師である以上は社会に貢献する義務があるのは重々承知ですが、そのためにも自身や家族の生活の保証は必要です。勤務医である以上、私もサラリーマンです。
23万円をいただけたとしても、もしこれが原因で感染してしまったら、自分や妻、子ども達の健康を脅かすだけでなく、勤務先の病院にも多大な迷惑をかけることになります。

また多くの方はご存知ないかと思いますが、医師会という団体には、全ての医師が属しているわけではありません。医師会に属する医師は、そのほとんどが開業医です。もちろん医師であれば誰でも入会できますが、勤務医で入会するのはおそらく稀でしょう。私も入会していません。医師会とは医師全体の代弁者ではなく、開業医の代弁者であるということです。

つまり医師会に募集を依頼するということは、開業している医師を募集するということです。募集に応じるということは、自身で開業している診療所を閉めるなり、代診の医師を手配して行くということです。自身の仕事を休み、しかも危険な任務を引き受けるとなれば、相応の対価は必要でしょう。もし感染してしまうと、自身の診療所を閉めなくてはならなくなりますし、いわゆる「風評被害」に晒されるリスクもあります。

メディアを見ていると、やたらと海外の例を引き合いに出したがる方がいますが、ここは日本です。最近知ったことですが(本当かどうかは知りませんが)、日本以外の多くの国には軍隊があり、そこには軍医がいるわけで、海外ではその軍医がPCRの検体採取を行っている例も多いそうです。彼らは上からの指示があればそれに従うでしょうし、防護服などの扱いにも慣れています。日本にはそのような医師はごくわずかしかいません。医師を動員する能力が、日本と諸外国では全く違うのです。

憲法などによる様々な制約がある中で、しかも狭い国土に多くの国民がひしめいているにも関わらず、日本での新型コロナウイルス感染による死亡者数は諸外国に比べて圧倒的な少数で推移しています。この事実をもっと評価すべきではないでしょうか。


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麻酔科医として | 14:03:46 | トラックバック(0) | コメント(0)
PCR検査について③
色々な情報が飛び交っています。
ネットニュースのコメント欄などを見ると、メディアの「嘘」に気づいている人達も増えてきてはいるようですが、未だ「PCRを増やせ」「検査数が足りない」という声の方が大きいように感じます。

私は徒らに検査数を増やすのは反対です。
今以上に検査を安全に、効率的に、そして正確に行えるようになれば話は別ですが、現時点では反対の立場です。

検査数の増加を主張する人達の中に、「〇〇社の機械ならば一日に△△件の検査ができるのだから、検査数が増えないのはおかしい」という論調を見かけます。失礼ながら、あまりにも短絡的な思考であると感じざるを得ません。少なくともこの新型コロナウイルスに関して言えば、機械があれば検査数を増やせるというものではありません。

理由はいくつかありますが、その一つとして検体採取の問題があります。そもそもこの「検体」とは何でしょうか?そしてそれをどのように採取するのか、ご存知ですか?
この場合の検体とは「鼻咽頭の拭い液」です。鼻や喉に綿棒のようなものを突っ込んで、壁をグリグリこするのです。こんなことをされれば咳やくしゃみをしてしまっても不思議ではありません。検体を採取する医師の側も大きな感染のリスクを負います。
当然ながら専用のマスクや防護服、手袋を着用して行うわけですが、自身だけでなく次の患者への感染を避けるためには、その都度これらの防護具を全て取り替えなくてはなりません。その取り外し方にも細かい作法が要求されます。私も経験がありますが、慣れていないとなかなか面倒です。
検体採取とは、次から次へと流れ作業のようにできることではないのです。またマスクばかりでなく、医療用のガウンやエプロン、手袋、消毒用エタノールまでが不足しつつある今の状況で、さらに多大な医療資源が必要となります。
「ドライブスルー検査にすればいい」という声もあります。ドライブスルーなんて言葉を使うと何だかとても手軽に行えるように聞こえてしまいますが、同じことです。

話は少々飛びますが、先日この検体採取を医師だけではなく歯科医師でも行うことが可能になりました(ただし地域医師会等が運営するPCR検査センターに限定)。これは特例であり、本来であれば法に触れる行為です。なぜこんな特例を設ける必要があったのでしょうか?
検体を採取する医師の人数を確保できないからです。要するに、なり手がいないのです。
この件に関してはちょっとしたウラ話がありますので、次回にでも触れようかと思います。

このように、検体採取の現場だけでもハードルが多いのです。単に数字の理論だけで解決できる問題ではありません。

PCRについては、以下の記事が参考になりました。
寄稿 新型コロナウイルスのPCR検査のあり方

今はできる限りの最大限のことを、できる限り効率的に行うしかないのです。


麻酔科医として | 23:43:14 | トラックバック(0) | コメント(0)